公務員にプロジェクトマネジメントが必要な理由~その3
今回もこれまでに引き続き、公務員にプロジェクトマネジメントが必要な理由を見ていきます。
前回、プロジェクトの定義について見てきました。その中で「独自性が有ること」、「プロダクト、サービス、所産を創造すること」及び「有期的であること」の三点が要件であるということをお話ししました。このため、今回はこれらの要件について見ていきます。
独自性が有ること
「独自性が有る」とは、これまでに創造・産出したことがないことを言います。簡単に言うと「初めてする」ということです。たとえ他の地方自治体や民間企業等において行ったことがあったものだとしても、自分たちの組織にとって初めて行う場合は「独自性が有る」と言えます。
具体例を挙げますと、地方自治体の施設管理業務において考えてみた場合、新しい施設を建設することは、これまでにやったことがないことですので「独自性が有る」と言えます。一方、会議室利用の受付など日常的な施設の管理業務を行うことは、いつもやっていることですので「独自性が無い」と言えます。
なお、「施設の建設」という業務自体は、地方自治体においてはこれまでにいくつも施設を建設してきているため独自性が無いように思えるかもしれませんが、一つ一つの施設自体は別物であり、建設する場所や設計、実際に建設作業を行う者などは基本的に異なりますので、新たに施設を建設する場合は「独自性が有る」と言うことができます。
プロダクト、サービス、所産を創造すること
「プロダクト、サービス、所産」とは、業務や活動の結果として産み出されるものを言います。一般的には「成果物」と言うことが多いかと思います。
この「プロダクト、サービス、所産」は、有形の場合に限らず、無形である場合もあります。例えば、業務改善やイベントの開催、新たなサービスの提供などは、有形の物として残るものが無い場合もありますが、無形として「プロダクト、サービス、所産」に該当します。
また、「プロダクト、サービス、所産」は、一つに限らず、複数の場合もあります。例えば、システム開発プロジェクトにおいては、成果物はシステムを動かすプログラムに限らず、設計書やテスト結果報告書なども含めるなど、一般的には複数の成果物が作られます。
さらに、新たに産み出すだけではなく、既にある物やサービスの改修や改善などもこれに該当します。
有期的であること
「有期的」であるとは、明確な開始と終了が有ることを言います。つまり、期間が限定されているということです。この期間は、例えば数週間といった短期間の場合もあれば、数年に渡るといった長期間の場合もあります。
なお、プロジェクトの終了は、目標が達成されて成功に終わった場合に限らず、例えば法改正等によりプロジェクトの必要性が無くなった場合や期限までに終わらなかった場合など、何らかに理由により中止になった場合や失敗に終わった場合も含まれます。
このように、プロジェクトの定義では、「独自性が有ること」、「プロダクト、サービス、所産を創造すること」及び「有期的であること」の三点が要件であると言えますが、プロジェクトの特徴はこれ以外にもあります。ということで、次回はその他のプロジェクトの特徴について見ていきたいと思いますので、引き続きご覧ください。